2Kに詰まった記憶 中野の集合住宅、67年の歴史に幕

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長野佑介
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 東京のJR中野駅前で戦後の復興や人々の暮らしを見守ってきた公社住宅が、67年の歴史に幕を下ろす。再開発に伴い、今月から解体作業が始まった。幼いころから過ごしてきた女性は「かけがえのない場所」と別れを惜しむ。

 中野駅南口から歩いて2分の場所に、黒くすすけたアパート群がある。鉄筋コンクリートの4階建ての「中野住宅」。すでに住民は退去し、今月2日から解体作業が始まった。

 「本当になくなっちゃうんだね。さみしいよね」

 先月まで住み続けた田辺素子さん(72)は語った。5歳の夏、両親とともに世田谷区からリヤカーで引っ越してきた。「部屋がピカピカで。気持ちがすごく弾んだのを、いまでも覚えています」

 戦後の住宅難を解消するため、東京都住宅協会(現在の東京都住宅供給公社)が1952~53年に完成させた。闇市があった中野駅南口にロータリーができ、街が整備され始めた頃だ。木造全盛の時代には珍しい鉄筋コンクリート造り。4階建ての7棟で248戸もあり、当時としては大規模な集合住宅だった。

 間取りはいずれも6畳、4畳…

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