芦屋の住宅街「どこまで水が」 昨年の台風、高潮の脅威

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千種辰弥 金山隆之介
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 台風などの影響で海水が湾岸部を襲い、大きな被害をもたらす高潮。昨年9月の台風21号では関西空港大阪府)が大規模浸水したほか、兵庫県芦屋市の住宅街が水に漬かり、逃げ遅れる住民が相次いだ。過去には幾度も多数の犠牲者が出ており、高潮被害を軽減する取り組みや議論も始まっている。

 昨年9月の台風21号は、暴風と高潮で近畿地方を中心に各地に被害をもたらした。特に大阪湾周辺では、過去最高の潮位を7カ所で観測。多くの人工島で浸水が起きた。港湾施設も被害を受け、コンテナが漂流して物流が停滞した。

 兵庫県芦屋市の人工島・南芦屋浜では、高潮で約27ヘクタールが浸水。17棟が床上浸水、230棟が床下浸水した。

 南芦屋浜の海岸近くでカフェを営む小山恵理さん(38)が異変に気づいたのは、台風が神戸市に再上陸する直前の9月4日午後1時40分ごろ。窓ガラスに雨やしぶきが吹き付け、音をたてた。店の前の道は海岸沿いの駐車場から流れ込む水で川のようだった。

 「避難する?」「どうする?」。近所の住民と無料通話アプリで相談している間にも、潮位は上昇。海と護岸の境が見分けられない状態になり、波が店の前まで打ち寄せてきた。

 東隣の同県西宮市では、潮位が30分余りで2メートル以上も上昇。同日午後2時15分に過去最高の3・24メートルに達した。同時に風も急激に強まり、神戸空港で最大瞬間風速45・3メートルを記録した。

 避難できなくなった小山さんは、夫の豊さん(37)と2階の事務所に上がった。雑誌やタオルを詰めて目張りした玄関や窓から、水がじわじわと入り込む。「どこまで水が来るのか気が気でなかった」

 漂流したコンテナが護岸にぶ…

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