琉球の個性光る「組踊」 誕生から300年、今も沖縄に

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上原佳久
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 かつてアジアの海を結ぶ交易で栄えた琉球王国。その宮廷芸能「組踊(くみおどり)」が生まれて、今年で300年。日本と中国のはざまにあって、したたかに生き延びた王国の精神を伝える音楽劇は、今も沖縄で盛んに上演されている。

 伝統衣装に身を包んだ役者が魔法をかける手ぶりを見せ、せりふを唱え始めた。「黄金(くがに)ぬ馬車(ばしゃ)にしかたうち変(か)わてぃ(冬瓜(とうがん)は、黄金の馬車に早変わり)」

 すると、あら不思議。かぼちゃの馬車ならぬ、冬瓜の馬車が現れて――。そう、これはおなじみのシンデレラの組踊版だ。

 組踊のせりふは、琉球王国の士族たちが話した古い沖縄言葉が基本。見せ場で役者が動きを抑え、代わりに三線(さんしん)奏者がその心情を歌い上げるなど独特の様式をもつため、現代の観客には取っつきにくい面もある。

 そのため、国立劇場おきなわ(沖縄県浦添市)では年に約10回、組踊版シンデレラなどで楽しみ方を解説した後、伝統的な演目を披露する試みを続ける。桃太郎や絵本「スイミー」を組踊に仕立て直したものもある。

 同劇場芸術監督の嘉数(かかず)道彦さん(40)は「博物館にしまい込まず、生きた芸能でありたい。見る人に喜んでもらう原点は、300年前と変わりません」。

外交手段でもあった組踊

 その成り立ちには、日本と中国に挟まれた小さな島国の歴史が色濃く反映されている。

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