存在感失う「残念な20年」 科学技術立国・日本のいま

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田中郁也
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 国の未来を考えるとき、気にかかるのが科学技術の実力です。科学技術立国を掲げる日本ですが、様々な場面でその衰えが指摘されています。いま、どんな状況にあり、なぜなのでしょうか。

 科学技術を支える土台は大きくふたつあります。ひとつは基礎研究や応用に取り組む大学や研究機関、もうひとつは先端技術をみがき、新製品やサービスにつなげる企業です。車の両輪のようなその両面で、日本は苦戦しています。

 企業の成長力や技術力が反映される株式の時価総額。今年8月下旬時点の順位をみると、世界の上位を独占するのは米国のIT企業です。日本企業で最上位のトヨタ自動車は30位台、それより上にアリババやサムスンなど中国や韓国企業がいます。

 大学や研究機関の研究力はどうか。他論文での引用数が上位10%に入る注目論文数で、日本の順位は2000年代初めから下がりだし、16年は11位。この間に中国は順位をあげ、10年から米国に次ぐ2位を続けています。韓国も13位と、日本を追い上げています。

 低迷のきっかけは90年代初頭のバブル経済崩壊と、それに伴う大手企業の中央研究所の縮小です。

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 基礎研究からの撤退で、まず…

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