原爆で壊滅した広島をテーマに作家の故・井上ひさしさんが描いた朗読劇「少年口伝隊(くでんたい) 一九四五」が9月1日、北海道函館市で上演される。被爆直後の広島であった実話に着想を得た作品。戦争の残酷さと平和の尊さを伝える舞台づくりに向け、劇団はこだて(前田健三代表)の役者たちが稽古に励んでいる。
1945(昭和20)年8月6日朝。広島の「日常」の上に、B29爆撃機が原爆を投下した。一瞬の閃光(せんこう)とともに、「青空が裂けて、天地が砕けた」。「このときから、漢字の広島は、カタカナのヒロシマになった」――函館市内の稽古場に、情感を込めた劇団員の声が響く。毎週2~3回、仕事帰りや休日に集まって練習を重ねている。
原爆で地元の中国新聞社も被災した。印刷機能を失い、生き残った社員で「口伝隊」を結成。口頭で人々にニュースを知らせて歩いた。この実話を基に、井上さんが亡くなる2年前の2008年に書き下ろしたのが「少年口伝隊」だ。
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孤児になりながらも、新聞社…
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