シャネル好きはグッチが嫌い AIに揺さぶられる「私」

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松沢奈々子
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 自分のもの、であるはずの直感や自由意思。ところが私たちはいま、「確固たる自己」でさえもAI(人工知能)によって揺さぶられる時代を生きている。トランプ大統領が誕生した2016年の大統領選で、フェイスブック(FB)から大量流出した会員情報をもとに、個別に感情に訴えかける広告を表示する選挙戦略が仕掛けられた疑いも浮上した。直感的に選んだものが、実はあるべき方向に向かうように操作されていたら――。自己の選択は、本当に自分のものなのか。AI時代、ヒトは直感といかに向き合えばいいのだろうか。

 高級ブランドバッグのレンタルサービスが人気だ。約3万個から好きなバッグが借り放題。ただ、シャネルばかりを借りていると、グッチはお勧めされなくなる。本当はシャネルもグッチも好きなのに。AI(人工知能)が勧める情報があふれるいま、かえって選択の機会が狭まったように感じるのはなぜか。

 エルメスやルイ・ヴィトンなどのバッグを月額制で借りられるサービス「ラクサス」では、約2万人の有料会員や退会した会員らの好みを複数のAIで分析し、「シャネルが好きな人はグッチが嫌い」「バレンシアガやミュウミュウが好きな人はプラダも好き」など、独自の法則を見いだして作ったアルゴリズム(手順)で会員に勧める。会員向けにアンケートやA/Bテストなどを重ね、「朝日の絵が好きな人はシャネルが好き」などの傾向も見いだしたという。

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 運営するラクサス・テクノロ…

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