象牙取引、日本に厳しい目線 迫られる市場の完全閉鎖

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ジュネーブ=河原田慎一 松尾一郎 桑原紀彦
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 絶滅のおそれのある野生動植物の国際取引を規制するワシントン条約の締約国会議で、アフリカゾウの象牙取引をめぐる議論が21日、あった。深刻な密猟被害を訴えるアフリカの国々が各国国内市場の完全閉鎖を提案。米国は「国内市場は違法取引に関与していない」と主張する日本などの国に対して、より強い説明責任を課す修正案を出し、こちらが委員会で合意された。日本は反対しなかった。はんこや宝飾品に使われる象牙の一大市場がある日本に、国際社会の一層厳しい目が向けられた形だ。

 スイス・ジュネーブで21日に始まった、象牙取引の議論。アフリカ中部、東部の国を中心に「国内市場閉鎖」を求める意見が相次いだのに対し、日本政府は「国際取引を規制する条約の会議であり、国内市場の閉鎖は目的を超えている。日本市場は密輸や違法取引に関与していない」と主張し、反対を表明した。

 アフリカゾウの象牙取引は、約180カ国や保護団体などが出席して2、3年おきに開かれる、締約国会議の主要議題の一つとなってきた。

 国際自然保護連合(IUCN)によると、2016年のアフリカゾウの推定個体数は約42万頭で、1979年の約134万頭から大幅に減った。象牙は古くから宝飾品などとして珍重され、高値で取引されており、密猟が今なお後を絶たないことが背景にある。

 密輸される象牙は、主にアフリカ東部や西部の港から、中継地である東南アジアなどに運ばれる。アフリカ東部のタンザニアでは、16年までの10年間でゾウの個体数が60%減少。密猟によって自然死よりも多く死んでいるという。現状をふまえ、16年南アフリカであった前回会議では、密猟や違法取引に関わる国内市場の閉鎖を勧告する決議の採択に踏み込んだ。

 今回の会議では、ケニアなどアフリカ中・東部の国を中心とした9カ国が、前回決議の内容をより強める修正を提案。象牙消費国のすべての市場を閉鎖し、取引不能にするよう求めた。

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