おふくろ、見てくれ…ラグビーW杯でにぎわい戻る故郷を

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本田雅和
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 ラグビー・ワールドカップ(W杯)の会場で、唯一新設された岩手県の釜石鵜住居(うのすまい)復興スタジアム。1カ月後の開幕を控え、色々な思いを胸にスタジアムを見上げる元ラガーマンがいる。「やっとここまで来た」「生きたくても生きられなかった人がたくさんいる。それを伝えたい」

 地元の釜石工業高校や地域のラグビーチームでフランカーとして活躍してきた釜石市の沼崎優さん(46)。8年前のあの日、市外の勤務先に出かける前、一緒に暮らしていた母ふみ子さん(当時62)に声をかけた。「午後は半休もらって田起こしするよ」。工場で働きながら、週末は農業の日々。母の反応は「黙って一日仕事してこい」。口論になった。それが母との最後の会話になった。

 午後2時46分、激しい揺れが職場を襲った。母の携帯電話を鳴らすと一時的につながり、妹の佐野梢さん(同29)が出た。「防災センターの2階にお母さんと娘2人で避難しているから兄ちゃんは安心して」

 職場から車を飛ばした。母たちにはなかなか会えなかった。防災センターには避難所と間違えた住民多数が逃げ込み、2階天井を超えた津波で160人以上の犠牲者が出た。その中に母のほか、妹とその娘たち、楓夏(ふうか)ちゃん(同2)と穂香(ほのか)ちゃん(同1)もいた。

 「電話が通じた時に高台に逃…

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