九州労災病院、がん検査の検体取り違え 3年後に死亡

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狩野浩平
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 九州労災病院北九州小倉南区)が2014年、子宮頸(けい)がんを疑われた大分県の50代女性の検体と陰性の検体を取り違えていたことがわかった。女性は別の病院で陽性と診断され、17年に死亡した。遺族は取り違えで発見が遅れたとして損害賠償を求め提訴。労災病院は死亡との因果関係はないと反論している。

 遺族や代理人の弁護士によると、女性は不正出血が続いたため、14年1月、九州労災病院の産婦人科で悪性細胞の有無を調べる細胞診検査を受けた。翌2月、労災病院から「陰性」と説明され、詳しい検査は受けなかった。だが、女性の本当の検査結果は「疑陽性」だった。労災病院の職員が誤って、同じ日に検査をした別人の検体に女性の名前などが書かれたラベルを貼っていたという。

 女性はその後も出血が続いたため、14年10月に地元の開業医で同じ検査を受けて陽性と判明。再び労災病院で詳しい検査をしたところ、がんが進行した状態であることがわかった。労災病院は14年12月、女性と家族に検体の取り違えがあったことを説明、謝罪した。

 女性は北九州市内の別の病院で子宮やリンパ節をすべて摘出する手術を受けたが、15年8月に再び腫瘍(しゅよう)が見つかった。抗がん剤や放射線などの治療を続けたが、17年4月に58歳で死亡した。

 労災病院側は取り違えと死亡との因果関係を認めなかったため、遺族は17年10月、治療費の返還や慰謝料など6361万円の支払いを求めて、福岡地裁小倉支部に裁判を起こした。

 裁判で労災病院側は、取り違えが起きた検査の結果が疑陽性でもがんを発症していたとは限らず、その後の精密検査で陰性と診断される可能性があったと主張。検査の時点でがんがすでに進行していたとすれば、発見しても結果は同じだったなどと訴えている。

 九州労災病院は朝日新聞の取材に対し、「係争中なので一切答えられない」としている。

 同病院は1949年、全国初…

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