がんと闘う人へ「明日がある」3年半、111回のブログ
3年半にわたり、がんとの闘いをブログで発信していた女性が今春、65歳で亡くなった。前向きに、そして明るく。人柄がにじみ出た文章は同じようにがんと闘う人らを勇気づけた。それが自費出版された。
「自分を奮いたたせて折々に綴(つづ)っていければ、と思います。よろしく!」
ブログは2015年10月1日、こんな文章から始まる。書いたのは大阪府茨木市で暮らしていた渡辺由美子さん。大阪市で主にケースワーカーなど福祉部門の職員として勤務した。退職後の15年、体調に異変を感じ、病院での検査で膵臓(すいぞう)にがんが見つかる。最も重篤な「ステージ4」と診断された。
ブログはこの後に書き始めた。職場結婚した夫の清さん(69)に背中を押され、知人に近況を伝えられればと、スマートフォンを手に取った。点滴の合間や診療の待ち時間に記した。
抗がん剤と放射線治療を併用。入退院を繰り返し、大量の薬を服用した。吐き気などの副作用で気持ちはふさいだが、ブログにはこうつづった。「先のことを考えてくよくよするより、何か楽しいことをあれこれ想像して、開き直った気分の今の私です」(16年2月2日)
国内や海外へ旅行に出かけ、ブログの半分は旅行記のよう。またコンサートやお花見、ハイキングのほか、興味があった源氏物語の勉強会に参加したことも。ファンだった広島カープの本拠地「マツダスタジアム」(広島市)で試合を観戦するなど、日々を楽しんでいた。
しかし病状は進行していく…
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