学校内に「居場所カフェ」 ゆるく、じわっと広がる

有料記事学校がつらくなったら

山下知子 金沢ひかり 貞国聖子
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 不登校の経験などがある生徒を積極的に受け入れる動きが、公立高校で広がっている。中学を休んでいても受験しやすい制度を導入したり、学校でも家でもない「第三の居場所」を校内に作ったり。時に学校外の力も取り込みながら、卒業後も見据えた支援が進む。

 札幌市中央区にある市立札幌大通高校。7月のある日の昼下がり、生徒が次々と1階に下りてきた。

 テーブルの上にはクッキーチョコレート。飲み物を手にした生徒たちが次々に座り始めた。スマホで動画を楽しむ子、スタッフの女性になにやら相談する生徒、カードゲームをし始めるグループ。あちこちのテーブルで笑いが起こり始めた。

 月2回ほど、校内で開かれる居場所カフェ「ドーリプレイス」、略して「ドリプレ」だ。同校とPTA、公益財団法人さっぽろ青少年女性活動協会の3者が運営する。協会のスタッフも2人参加し、生徒と一緒に遊んだり、話を聞いたり。昨年5月に始まり、毎回約80人が集まる。

 同校は、午前、午後、夜間の3部に分かれた、単位制定時制高校。学年による学習区分を設けず、時間割は生徒一人ひとりで異なる。他の高校が合わなかった子や働きながら学びたい子、日本語が得意でない子、不登校経験がある子など、多様な生徒が通う。

 あるテーブルでは、他校をやめて入学した生徒が紙にイラストを描いていた。その脇で女子生徒がノートを広げる。中学時代は不登校だった。「ずっと一つのクラスで勉強し、『みんな一緒に』の雰囲気が苦しかった。ドリプレは『こうでないとだめ』って圧力がない。こういう場所が学校にあるのは、すごくいい」と言う。

 別の3年の女子生徒は、ドリプレ開催日を毎回チェックする。先生とも親とも合わない子はいる、と思う。「バイトの相談とか、家族に信用されなかったこととか、何かしんどいとか、くだらないこととか、ここでは話したいことが話せる」

 スタッフの日比菜月さん(32)は、生徒からよく相談を受ける。「学校に来るのが精いっぱい。授業なんて無理」「学校で一人で過ごすのが嫌」……。深刻な相談は、高校の先生と情報共有し、対応する。「菓子を食べる様子などから、気にする必要がある子がわかる。ぽろっと深刻な話が出ることも。居場所カフェというゆるい場だからこそ見えるものがある」。同校の信田麻紀子教諭(47)は「親と先生しか大人を知らず、大人や社会に不信感を持っている生徒はいる。親でも教員でもない大人と関係を作り、認められる場が必要だ」と話す。

学校の中にこそ

 しんどさや生きづらさを抱える高校生の緊張を解き、受け止める場所を学校の中にこそ作りたい――。

 居場所カフェはそんな思いから2012年、大阪府立西成高校(大阪市)で始まり、近年、広がりを見せる。運営するのは、多くがNPO法人など学校外の組織。各地でフォーラムを開くなどして、意義について積極的に広めてきた。

 神奈川県立田奈高校(横浜市

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