軽井沢の三井別荘、解体の恐れ 租税回避地の法人が入手

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土屋弘
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 旧三井財閥の三井三郎助(1850~1912)が明治後期に長野県軽井沢町旧軽井沢に建てた別荘がタックスヘイブン租税回避地)にある法人の手に渡り、地元住民らが「別荘が取り壊される恐れがある」と署名活動を始めた。明治期の建築様式を伝える貴重な文化遺産として、行政に保存を働きかける。

 別荘文化史を研究する日本女子大名誉教授の増淵宗一さんによると、この別荘は1900(明治33)年ごろ建てられ、軽井沢に現存する日本人の別荘では「八田別荘」(1893年建築)に次いで古い。

 木造2階建ての洋館(144平方メートル)と和館(140平方メートル)をつないだ構造で、水洗の洋式トイレや洋式洗面台、ガス灯の取り付け部などが残る。築120年近く経つが、保存状態は良好だという。

 三郎助は、NHKの連続テレビ小説「あさが来た」の主人公のモデルとなった実業家・広岡浅子の義弟。浅子はこの別荘をしばしば利用し、元老の西園寺公望やインドの詩人タゴールが滞在したことでも知られる。増淵さんは「当時の上流階級の生活スタイルを知る上で貴重な建物。歴史的な物語の舞台としても価値が高い」と指摘する。

 三井家の関係者が所有・保存してきたが、今年1月にタックスヘイブンとして知られる英領バージン諸島の「リーガル・オネスト・リミテッド」という会社に敷地(約5千平方メートル)の所有権が移っていた。

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 増淵さんらがそれを知ったの…

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