文大統領、日本批判を弱めた理由は 対日感情、過熱の中

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神谷毅 武田肇 鈴木拓也=ソウル 鬼原民幸
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 韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領は15日、日本統治からの解放を記念する「光復節」の式典で演説した。日本の対韓輸出規制強化に言及しつつ、歴史認識問題では直接的な批判を避けた。経済低迷への影響を懸念し、改めて日本に対話を求めるとともに、過熱した国内の対日感情を落ち着かせたい考えのようだ。(神谷毅、武田肇、鈴木拓也=ソウル、鬼原民幸

 韓国中部の天安市にある独立記念館。雨が降るなか薄い水色の韓服に身を包んだ文氏は26分にわたり、淡々と演説文を読み上げた。

 「日本の不当な輸出規制に立ち向かう」。日本の輸出規制強化を批判しつつ、「今からでも日本が対話と協力の道に出れば、我々は喜んで手をつなぐ」と関係改善を訴えた。

 韓国の歴代大統領は例年、「光復節」の演説で、歴史問題で日本政府の対応を批判してきた。今年は日本統治下であった独立運動から100年を迎える節目でもある。文氏は日本が最初の対韓輸出規制を始めた7月以降、強い口調で日本の対応を批判。日韓関係が急速に悪化するなか、この日の演説には国内外の注目が集まっていた。

 文氏は演説で、歴史認識への言及を抑え、「日本が隣国に不幸を与えた過去を省みて、東アジアの平和と繁栄をともに導くことを望む」との表現にとどめた。主張の中心に経済を据え、39回も「経済」という単語を語った。韓国メディアは「光復節の演説としては異例の経済演説」と相次いで報じた。

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 背景にあるのは、対日関係の…

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