「日本に好意的」と批判されても 大戦と向き合うアジア
染田屋竜太
アジア・太平洋戦争で日本は東南アジア全域に侵攻した。その場所で今も、戦争の歴史を追う人たちがいる。いずれも「戦争を知らない世代」。彼らは「日本に好意的すぎる」などと批判を浴びながらも、「事実を元に歴史を掘り起こす」と活動を続ける。
集めた元捕虜の情報は10万人分
タイ中部カンチャナブリは映画「戦場にかける橋」で有名になった泰緬(たいめん)鉄道の拠点だ。日本軍がつくった400キロ超の鉄道建設では、過酷な労働に動員された東南アジア諸国の人々や連合国軍の元捕虜らが多数亡くなった。ここで25年、鉄道建設の歴史を追い続けるのが、オーストラリア人のロッド・ビーティーさん(71)。元々は宝石商としてタイを訪れ、友人の誘いで元捕虜の記録を調べることになった。
「母国にとって大切な歴史だ」と気づいたビーティーさんは豪州や日本から記録を集め、元捕虜一人一人の情報を独自にたどり始める。捕虜になった時期、鉄道建設に携わった場所、亡くなった場合は病院や死因も突き止めた。この25年間で集めたデータは、鉄道建設に携わらなかった元捕虜もふくめて10万人分を超えた。
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