落語しゃべると近未来が見えてくる 東の三三×西の吉弥

有料記事

聞き手・篠塚健一
[PR]

 これからの落語界を担うと目される、東京落語の柳家三三(さんざ)(45)と上方落語の桂吉弥(48)。三三の大師匠・故五代目柳家小さんと師匠・柳家小三治、吉弥の大師匠・故桂米朝はいずれも人間国宝だ。「ふたり会」で切磋琢磨(せっさたくま)する間柄でもある東西の雄が芸について、そしてお互いについて語りあった。

 ――ふたり会を始めたのは

 三三 頻繁にやっていたのは、10年ぐらい前からしばらくだったかな。

やなぎや・さんざ 1974年、神奈川県出身。93年に柳家小三治に入門。2006年に真打ち昇進。9月15日に大江能楽堂(京都市中京区)で独演会を開く。

 吉弥 そうですね。もともとは(立川)談春兄(にい)さん。飲み屋で「吉弥はライバルいるのか?」「えっ、そんなん考えたことないですけど」「三三ってのがいるからやれ!」。それから小三治師匠と米朝師匠が出る会があって、僕は米朝師匠のカバン持ちで前座でしゃべった。そこで初対面して。「談春兄さんから言われたんですけど……」「ああ、俺も聞いてる」って。じゃ、やりましょうかと。

かつら・きちや 1971年、大阪府出身。94年に故桂吉朝に入門。2008年に繁昌亭大賞。10月2日に国立演芸場(東京都千代田区)である桂米朝一門会に出演する。

 三 談春兄(あに)さんは面倒見が良く、物を見る目が鋭い人。気になる後輩だからもうちょっとなんとかなるんじゃない、って思ってくれたんじゃないかな。

 ――一緒にやってみて

 吉 巧い人やなあ、と。「ちゃんとやらなきゃいけないポジションに来たね」。そんな話を2人でしたのがすごく印象に残っています。ちゃんとやるってなに? 米朝師匠のまま? 小さん師匠のまま? (お客さんは)「三三を見に来てる」「吉弥を見に来てる」。だから自分が納得すればって。いまは自分の落語で日々のお客さんに笑ってもらえる、ああ~って思ってもらえるのが大事です。

 三 どういう存在なのかは、自分が決めることじゃない。昔は落語はこうでなければと気負いがあったけど、いまはないよ。高座に上がってしゃべって終わると忘れちゃう。しゃべって楽しかったと思えれば、それでいい。反省もしないしね。

立川談春さんの取り持ちでつながった桂吉弥さんと柳家三三さん。記事の後半では、後輩に求めることやそれぞれの落語に感じること、好調時の高座での境地について深く語ります。

 ――キャリアを重ねて、指導する立場ですね

ここから続き

 三 教えている時にああだこ…

この記事は有料記事です。残り2355文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

【お得なキャンペーン中】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら