弱者救う「不動産屋のおばちゃん」、激怒して涙した現実
中村通子
「不動産屋のおばちゃん」阪井ひとみさん(60)
今年5月、食事と生活相談の場「あおば食堂」を津山市で始めた。市中心部から車で10分ほど離れた田畑と住宅が入り交じる閑静な地域にある小さなアパートで、毎月最終土曜日のランチタイムに「開店」する。
ランチ代は、子どもは無料で大人は300円。みんなで食べながら雑談に花を咲かせて愚痴をこぼし、困りごとや悩みの解決に知恵を出し合う。16席の小さな店に30~40人が訪れ、待ち行列ができる時もある。
自らを「不動産屋のおばちゃん」と呼ぶ。約20年前から、さまざまな事情で住む所を見つけられない人の住まいを探す支援活動をしてきた。「あおば食堂」を開くアパートも、住宅確保が難しい人用に整備した建物だ。
元は普通の主婦だった。バブル崩壊の直前、父が財布をはたいて土地を買った。「でも、家が建てられない無価値な土地でした」
知識がないと、だまされる。そう思い知らされ、家事と育児をしながら勉強を始めた。33歳で宅地建物取引士の資格を取り、岡山市に不動産会社を設立した。「赤ちゃんを背に法務局に通ってね。目立ってました」
開業から5、6年経った頃…
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