「突然撃たれた」 インドに奪われたカシミールの日常

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スリナガル=奈良部健 バンコク=乗京真知
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 インドとパキスタン領有権を争うカシミール地方。実効支配の強化を狙うインド政府によって長年の自治権を剝奪(はくだつ)された、インド側のジャム・カシミール州に記者が入った。住民らは、通信網が遮断され、外出もままならない厳戒態勢下に置かれていた。

 夏の州都スリナガル。繁華街の店は10日午前、シャッターを下ろし、多くの道路は有刺鉄線で封鎖されていた。約1週間前に始まった外出禁止令のため、出歩く市民はほとんどいない。銃を持った治安部隊員が数メートルおきに立っていた。

 少数派イスラム教徒が多く暮らす同州に70年前から認められてきた自治権は、6日に剝奪された。反発を抑え込もうと、モディ政権は治安部隊を増員。抗議行動や投石をする市民は、散弾銃催涙弾を使った鎮圧の対象になっている。

 公立病院を訪れると、顔や背中を負傷した学生ワカールさん(20)がベッドに横たわっていた。

 散弾による無数の傷が顔に残…

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