乾パンが特製スイーツに 古い非常食、変身させるシェフ

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小池寛木
【動画】古い非常食を豪華な洋食に=矢木隆晴撮影
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 賞味期限が迫った非常食を持ち込むと、豪華な洋食にアレンジしてくれる。普段のメニューに加え、そんなサービスを始めた老舗洋食店が、兵庫県西宮市にある。シェフの手にかかると、おかゆはホタテマカロニドリアに、乾パンは特製スイーツに生まれ変わる。

 「非常食を華やかにしたり、味に幅を持たせたりするのが私の仕事です」

 そう話すのは、西宮市高松町にある洋食レストラン「土筆苑(つくしえん)」の大谷隆史(たかふみ)シェフ(41)だ。

 昨秋、台風21号が列島各地を襲い、大谷シェフの店も臨時休業した。近くのスーパーに行くと、特設売り場に非常食が並んでいた。

 「非常食はあまりおいしくない、どこか暗いイメージがあった」。ところが、何点か買って食べてみると想像以上においしかった。「少し手を加えたら、レストランのメニューに匹敵するものがつくれるかも」

 非常食は長期保存できるが、気づけば賞味期限が迫っていることも多い。大谷シェフは「年に1回、開封しておいしく食べてほしい」と思い立ち、市販されている様々な非常食をアレンジしたメニューづくりに取りかかった。

 料理の道を歩んで20年あまり。高校卒業後、東京の老舗西洋料理店「上野精養軒」で7年間修業した後、東京や大阪の西洋料理店で料理長などを務めた。非常食を素材にして、どう工夫できるか。腕が鳴った。

 「おかゆは薄い塩味なのでいくらでも加工できる。ドリアがいい」「お餅を洋食にするならグラタン。エビにも合う」。試行錯誤し、非常食を使う定番メニュー9種が完成した。リゾットやピラフなど、あくまでも洋食にこだわった。

 大災害が多発するいま、大谷さんは非常食を定期的に食べ、食べた分を買い足して常に備蓄する「ローリングストック」の実践が求められていると考えている。「こんな楽しい食べ方があれば、今度は何を買おうかとワクワクするかもしれない。防災について考える一歩になってくれたらうれしい」と話す。

 非常食を持ち込むには予約が必要で、ディナー帯(午後5~11時)に限る。白がゆを使ったドリアなど定番メニューは、持ち込む非常食の他に税別1070円、デザートは同131円。その他は応相談。問い合わせは土筆苑(0798・65・3366)へ。

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