日韓の火種「ホワイト国」 危うい言葉、もう一つの問題

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清水大輔
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 日増しに関係が悪化する日韓関係。韓国での反日感情を一層高める要因となったのが、「ホワイト国」リストからの除外でした。これは日本企業がモノを輸出する際、煩雑な手続きを簡略化できる国として指定していたグループ(輸出優遇国)から韓国を外した、ということです。この間、メディアなどを通じて急に見聞きするようになった「ホワイト国」という言葉ですが、そもそもどうして「ホワイト」なのでしょうか。

 今月2日、安倍内閣は「ホワイト国」のリストから韓国を外す政令改正を閣議決定しました。同時に、「ホワイト国」という呼称をやめて、「グループA」という言い方を用いることにしました。

 日本で「ホワイト国」という言葉が使われるようになるのは2002年以降です。輸出した製品が核・ミサイル開発などに用いられるのを防ぐため、日本は、外国為替及び外国貿易法外為法)にある輸出貿易管理令にもとづいて「リスト規制」と「キャッチオール規制」という二段構えで規制の網をかけています。

 まず、戦後の冷戦期に対共産圏を想定して実施されたのがリスト規制です。核兵器につながる天然ウランや濃縮プラント、生物・化学兵器につながる炭疽(たんそ)菌や菌を封じ込める装置などをリスト化し、こうした対象品の輸出には経済産業省の許可が必要としたのです。

 しかし、80年代後半に冷戦が終結。湾岸戦争後の国連査察の結果、イラクがリスト規制品以外の製品をかき集めて大量破壊兵器を開発しようと試みていたことが判明します。パキスタン北朝鮮も核開発に乗り出しました。「抜け道」を防ぐためにより厳格な規制を迫られるようになったのです。

 米国やドイツなどは90年代に入り、原則的に一つひとつの輸出品目について個別に許可を必要とするキャッチオール規制を導入します。日本でも02年に制度化されました。

 これには自動車など様々な業界から「面倒だ」という反発がありました。そこで、国際的な規制の枠組みにきちんと参加していて、かつ安全保障上信用できると判断した国を政府が優遇国として指定することにしたのです。それが「ホワイト国」でした。「ホワイト国」向けだと最大3年分の輸出許可がまとめて取れるため、日本企業にとっても当該国にとってもメリットがあります。

なぜ「ホワイト」という言葉?

 ただ、なぜ当時、「ホワイト」という言葉を使ったのでしょうか。この規制を担当する経済産業省安全保障貿易管理課に尋ねても、「はっきりしない」そうです。法律や省令などには「ホワイト国」は明文化されておらず、「経産省か産業界のどちらかが使い始めた言葉が定着した」そうです。

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 今回、経産省は輸出管理の信…

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