最後の時まで、満開の美しさで――。8月23日に幕を開けた、宝塚歌劇花組トップスター明日海(あすみ)りおの退団公演は、明日海にしかできない繊細な芝居、そして男役の集大成ともいえるショーの両面で観客を魅了する。
ミュージカル「A Fairy Tale ―青い薔薇(ばら)の精―」(植田景子作・演出)の舞台は、19世紀半ば、産業革命後のイギリス。人間に見える現実の世界と、精霊たちが生きる異次元の世界とが交錯する幻想的な作品だ。
主人公の薔薇の精エリュを演じる明日海は、この世のものとは思えない美しさで、登場シーンから劇場をいっきに神秘の世界へいざなう。
演出の植田は、明日海について「やはり芝居の人」と評します。ラストシーンに込めた思いを明かしてくれました。
エリュは妖精を信じる少女シ…
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