遺体の父を見捨てた悔恨 定年後学んだ英語で語る8・9

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小川直樹
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 長崎市平和公園で9日午前に開かれた平和祈念式典。被爆者代表として「平和への誓い」を読んだ山脇佳朗さん(85)=長崎市=は定年退職を機に英語を独学で学び始めた。被爆者の思いを一人でも多くに届けたい――。そんな思いに突き動かされてきた。

 国民学校6年生だった11歳の時、爆心地から2・2キロの長崎市稲佐町の自宅で被爆。昼食の準備をし、茶の間に座った瞬間、閃光(せんこう)が襲ってきた。母と4人の弟と妹は前日に佐賀県の親類宅に疎開していて難を逃れた。自宅にいた双子の弟と、外出していた兄も被爆。父は爆心地からわずか500メートルの工場で爆死した。

 父は目の前で火葬された。翌朝、兄弟3人で遺骨を拾いに行くと、遺体は完全に焼けておらず、兄が火箸で頭部を触ると、頭蓋骨(ずがいこつ)が石膏(せっこう)細工のように崩れた。白濁した半焼けの脳が流れ出て、兄は悲鳴を上げ、火箸を捨てて逃げた。

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 ■私もその後を追って逃げ出…

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