拡大する写真・図版 アスクルの定時株主総会会場のホテルの看板=2019年8月2日午前、東京都内

 親会社のヤフーと対立するオフィス用品大手のアスクル。2日午前から東京都内で開かれた定時株主総会では、事前にヤフーと大株主の文具大手プラスが議決権を行使した通り、創業者の岩田彰一郎社長、岩田氏を支持した独立社外取締役3氏の再任が否決された。大株主の反対に押し切られた結果となったが、総会では少数株主の一般株主から質問が続出。議長席に岩田氏、取締役席にヤフー出身の取締役2人が並び、双方が言い合う場面もある異例の展開だった。総会での株主と経営陣の主なやり取りを振り返る。

取締役が「ヤフーの立場」で回答

 ――岩田社長の退任がすでに決定的でとても残念だ。セブン&アイ・ホールディングスは元会長の鈴木敏文氏の引退後、セブンペイの問題などほころびが目立つ。ファーストリテイリングの柳井正氏は、社長に復帰し経営手腕を発揮している。アスクルも岩田社長が引退すると、物流会社やパートナー企業との信頼関係に影響が出るのではないか。他社を見ていると多くの悪い影響が出るように思えてならない。大丈夫なのか。

 吉田仁COO(最高執行責任者)「当社はCOO制を導入し、執行役員任命後、早期に経営を続けられるように候補者を選定し、事業を継続できるようにしている。ガバナンス(企業統治)をしっかりきかせることにより、健全な政策を展開して成長につなげていくことが大切。COO、執行役員がお客様を向いて成長していくことが事業継続の基本だ」

 岩田氏「アスクルは22年間、お客様を向いてきた。お客様のために進化していこうというのはアスクルの遺伝子、企業文化だ。企業文化や風土は一朝一夕では壊れない。人は石垣というが、そういった意味で、私が不在になっても変わらない」

 ――4人の取締役が交代になった場合、同じような理由で、数年後に上位株主だけの意向でまたこのようなことが行われるのか。岩田社長以上の業績を果たせなければこういうことが繰り返されるのか、懸念している。(ヤフー出身の)輿水(こしみず)宏哲(ひろのり)取締役、小沢隆生社外取締役のどちらかに聞きたい

 小沢氏「アスクルとして登壇し…

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