沖縄の4姉妹「でいご娘」 ヒット曲に込めた平和の願い

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川村直子
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 沖縄県で歌い継がれる、非戦を願う民謡がある。「艦砲ぬ喰ぇー残さー(艦砲射撃の喰い残し)」。曲の完成から数年後の1973年、作者の比嘉恒敏さん(享年56)は、飲酒運転の米兵の車に衝突され亡くなった。戦争体験者が減る中、比嘉さんの故郷、読谷村楚辺地区の海辺に6年前建立された歌碑には、平和を学ぶ子どもたちや民謡ファンが県外からも訪れる。

♪うんじゅん我んにん/いゃーん我んにん/艦砲ぬ喰ぇー残さー

 (あなたもわたしも/おまえもおれも/艦砲の喰い残し)

 歌碑脇のボタンを押すとスピーカーから録音された曲が流れる。歌うのは「でいご娘」。比嘉さんが時計修理工の傍ら、趣味の三線(さんしん)を4人の娘に教えてつくったグループだ。「おとうは戦争のこと、全然話さなかったさ。うきうきした曲調だし、当時は込められた思いを分からなかった」。長女の艶子さん(72)は振り返る。娯楽の少なかった時代。家族は米軍基地クリスマスパーティーや離島でのショーなど、家族ぐるみで巡業を重ねた。

 太平洋戦争末期、沖縄は米軍の上陸を前に、「鉄の暴風」とも形容される艦砲射撃で大きな被害を受けた。歌詞は戦禍を生き延びたことを艦砲の「食べ残し」と表現し、比嘉さんらが暮らした、終戦直後の市井の様子を物語る。4人姉妹が「父の遺作を残したい」とレコーディングした曲は、本土復帰から3年後の沖縄でヒットした。

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 ■♪誰があぬじゃましー出ち…

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