那覇のまんじゅう屋、100年守る味 戦争の記憶を重ね

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岡田将平
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 那覇市に100年近くの歴史を持つまんじゅう屋がある。曽祖母から4代にわたって引き継ぐ伝統の味は、那覇市民を中心に親しまれてきた。その中には、忘れられない記憶や思い出と重ね合わせ、買い求める人たちがいる。

 沖縄県庁近くの「天妃前(てんぴのめー)まんじゅうペーチン屋」で、店主の新城(しんじょう)佑子さん(41)が、手のひらほどの平べったいまんじゅうをゲットウの葉に並べ、包んでいた。麦を煎ってひいた「はったい粉」のあんを薄い皮で包んだ「天妃前まんじゅう」(1個税込み120円、5個で同550円)。香ばしいあんや冷めても硬くならない皮が特徴だ。

 100年ほど前、新城さんの曽祖母が、那覇市の繁華街でまんじゅうを売り始めた。まんじゅう屋は他にもいくつかあり、近くに航海安全の神様をまつる天妃宮(てんぴぐう)があったことから「天妃前まんじゅう」と総称されるようになった。

 太平洋戦争末期の沖縄戦もあり、店はいったん閉じた。再開したのは三十数年前のこと。日用品などの雑貨店を営んでいた新城さんの祖母が作り方を覚えていた。「ならば商品にしよう」。新城さんの母の提案で売り始め、数年後にはまんじゅう専門店になった。

 だが新城さんが18歳の時に…

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