「すべては○○のため」パワハラの素地 社会に潜む土壌

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東京経済部・堀内京子
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取材考記 東京経済部・堀内京子

 職場のパワハラ適応障害、うつ休職や自殺未遂の話を聞く取材が1カ月ほど続いた。毎回どっと疲れ、彼らの感じた痛みや恐怖、怒りが蓄積されてきたある日、彼らが受けさせられた理不尽な研修に自分が参加する夢を見た。

 勤務先のものらしい社訓を大声で唱えながら「あー知ってる。これは心まで持っていかれたらあかん研修」と必死に言い聞かせ、抵抗する自分。でも講師に「あなた見どころがありますね」とささやかれた瞬間、心が開き、研修に邁進(まいしん)。最終日は「ありがとうございましたあああ!」――自分の絶叫で目覚め、戦慄(せんりつ)した。知識も警戒心もあったつもりが、小さな承認でいとも簡単に「転んで」しまった。夢の中とはいえ情けない。

「すべては…」の思考停止

 無条件で講師に従わせる研修は、職場のパワハラの素地になる。「すべてはお客様のために」と思考停止になり、理不尽な要求や不当な労働環境に応じてしまう。ハラスメントが心に残す傷も大きい。失職や人間不信など、その後の人生も狂わせる。

 上司や企業風土以外にも「素…

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