母「子と心中してたかも…」 虐待防止支援、出産前から

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山内深紗子 浜田知宏
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 児童相談所が対応した子どもの虐待の件数が、昨年度も過去最多を更新した。悲しい虐待を少しでも防ごうと、育児などの悩みを抱え込むリスクがある親子の生活を、妊娠段階から支援する取り組みも進んでいる。

 「ミルクの量は?」「おしっこはでましたか?」

 家庭内暴力(DV)や貧困など、生活上の困難を抱える母子が入所して支援を受ける、関東地方のある市の母子生活支援施設。入所する20代の女性は次女(1)が生後まもないころ、午前0時と5時に次女の様子を書いたチェック表を個室のドアノブにかけ、職員の確認を受けた。朝になると職員に母乳の量や夜泣きの悩みを話し、助言を受けた。

 施設には24時間、保育士などの職員がいる。訪問する助産師からは、沐浴(もくよく)や授乳、子どもの発達に合わせた育児を教われる。「ここに来られなかったら、この子と心中していたかも」と女性は話す。

 介護の仕事をしていた時、夫と家賃4万円の家に住み始めた。夫は働かず、女性が手取りで月約14万円を稼いで支えていた。長女を授かった頃から、夫は日常的に暴力を振るうようになった。次女を妊娠して間もなく、虐待通告を受けた児童相談所は、長女を乳児院に入れた。

 それでも女性は「子どもから…

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