神奈川県藤沢市にある武田薬品工業の研究所「湘南ヘルスイノベーションパーク(通称・アイパーク)」では、昨年からスペースの一部を企業や大学に貸し出している。企業秘密が集まる創薬研究施設を外部に開放するのは、日本の製薬企業で初めてという。廊下には畳の会議スペースやハンモックも設けた。どんなねらいがあり、成果は出ているのか。藤本利夫ジェネラルマネジャー(50)に聞いた。
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――なぜ研究所を開放したのですか。
「2000年代以降、製薬企業は1社だけで新薬をつくる時代ではなくなりました。ベンチャー企業などが生み出した技術や新薬候補を、世界のメガファーマ(巨大製薬企業)が買収や提携で取り込み、新薬開発を進めるモデルが確立しています」
「どこのメガファーマも、(米国の)ボストンやサンディエゴなど、世界中の企業が集って最先端の技術が生まれる場所に拠点を置いています。そこで提携先を見つけ、新薬づくりに生かしているのです。科学技術の先進国であり続けるためにも、そんな場所を日本にもつくり、『オープンイノベーション』を進める必要があると考えました」
――日本はなぜ、オープンイノベーションの取り組みが遅れたのですか。
「日本企業は、化学物質を合…
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