5年半ぶりの消費税率引き上げまであと1カ月。外食や小売りは複雑な軽減税率やポイント還元制度への対応に追われ、スタート時に消費者が混乱するおそれも出てきた。前回の消費増税の時にみられた「駆け込み購入」の動きは今のところ、めだってないようだ。

 今回、初めて導入される軽減税率で、飲食品は持ち帰って食べれば適用されて8%の税率になる。一方で、店内で食べれば適用外になって10%となる。それぞれの価格設定や表示方法をどうするのか。外食大手の対応はバラバラだ。

 牛丼チェーンの吉野家では店内で食べるか持ち帰りかによって、税率に従って税込み価格が変わるようにする。8%が適用される持ち帰りの「お得感」が強まるため、広報担当者は「持ち帰りの需要は伸びてくる」とみる。スターバックスやモスバーガーも同様の対応をとる。

 一方、牛丼チェーンの松屋は、店内で食べても持ち帰っても同じ税込み価格に統一する。8%が適用される持ち帰りは「包装や容器代」として本体価格を値上げし、10%の店内飲食と税込み価格をそろえる。ファミリーレストランのサイゼリヤも税込み価格をそろえるが、9割以上の商品で今の税込み価格で据え置き、実質的に値下げするという。

 日本ケンタッキー・フライド・チキンは、3月ごろまで別々の税込み価格にする方向だったが、税込み価格を統一する方針に転換した。近藤正樹社長は「マーケティングなどの結果、決めた。対応が分かれるのは各社の経営判断だから仕方がない」と話す。

 マクドナルドやタリーズコーヒーは「検討中」とし、9月中に公表する。

自己申告「確認難しい」

 コンビニでは、持ち帰れば8%だが、店内のイートインスペースで飲食すれば10%になる。セブン―イレブンなど大手3社は、お客が「店内で飲食する」と伝えた場合に10%を適用させる。日本フランチャイズチェーン協会(JFA)に加盟するコンビニで一致した対応だ。

 「自己申告」せずに店内で食べ…

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