「患者さんと月を眺めた」 ホスピス、知られざる日常

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河原理子
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 東京都小金井市にある聖ヨハネ会桜町病院(小林宗光院長)のホスピス緩和ケア)病棟で、主にがん末期の患者さんと家族をそっと支えてきたボランティアたちが、活動を記した冊子を作った。「風をつむぐ 聖ヨハネホスピス ボランティア30年史」。ここでは、ボランティアはホスピスに吹く「社会の風」だと言われてきた。どんなことをしてきたのか。

 同病院のホスピスの始まりは1989年。日本にまだホスピスが多くなかった頃で、この前年、当時の院長が、アルフォンス・デーケン上智大教授(当時)が企画した米国ホスピス視察旅行に参加し、多くのボランティアが働くのを見た。

 帰国後、ボランティアを募って研修を開始。1床でホスピスを始めたときからボランティアが活動した。94年に現在の高原のロッジのようなホスピス専用棟が完成。これまでの30年間でボランティアは計700人を超え、いまも60代を中心に、約100人が各曜日に分かれて活動を続けている。

 活動内容として多くの人が想像する「話し相手になる」ことは、実は少ない。患者さんの足などをさすったり、入浴を介助したり、散歩につきそうなどの直接的サポートもするが、むしろ、ささやかな日常をそっと支える仕事が多い。

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 すべての病室が庭の緑に面し…

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