統計不正、「身内」が監視 識者「官邸の意向効く恐れ」
厚生労働省の統計不正を受けた再発防止策として、政府は今月26日から内閣官房に31人の「分析的審査担当」を配置した。外部審査を強調するが、政府内の「身内」が監視する体制で、第三者性が確保できるか疑問の声が出ている。
厚労省の毎月勤労統計では、大規模事業所の全数調査を2004年から勝手に一部抽出調査にしていたことが発覚。18年1月からは勝手に数値を補正し外部に公表せずにいた。その後の一斉点検では、56の基幹統計のうち23統計で不正やミスが見つかった。
総務省の統計委員会は今年6月、各府省内の審査体制が不十分だったとして、統計の調査部署から独立した分析的審査担当を置くよう提言。政府は7月26日付で、各省のベテラン統計職員らを係長級~課長補佐級として内閣官房に配置した。厚労省など10府省にそれぞれ1~4人が常駐し、①公表前チェック②公表済み統計の点検③調査変更時の影響分析④ミス発覚時の対応――にあたる。
しかし、首相がトップの内閣官房が審査する体制には、「第三者性」を問題視する声もある。新藤宗幸・千葉大名誉教授(行政学)は「中立的、科学的であるべき統計は、人事院のような独立機関が所管するべきだ。内閣官房が関与するということは、官邸の意向がストレートに効く恐れがある」と指摘する。
毎月勤労統計では、中江元哉…
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