73歳、しんちゃんは原爆小頭症 「私がみる」妹の決意
宮崎園子
広島への原爆投下時、母のおなかの中にいた「しんちゃん」は、生まれる前から被爆者だ。原爆小頭症という重い障害がある。いま73歳。「ヒロシマ」を背負いながら、5歳年下の妹と横浜の片隅で生きる。
「あそこ」。しんちゃんが居間から指さした先に、小さな額に入った刺繡(ししゅう)の作品が二つ。「じかんかかるの。ひるやって、ごごやって。ろうがん(老眼鏡)かけて、やるの」
横浜市で暮らすしんちゃんには重い知的障害がある。平日は毎日通う福祉施設で刺繡に熱中。少し前、作品に3万7千円の値がついたのが自慢という。
知的障害がある仲間ばかりの施設で、しんちゃんは一人だけ違う事情を抱える。「近距離早期胎内被爆症候群」。そう記された認定書を持っていることだ。
しんちゃんの存在を隠したかった妹。でも兄を支え、ふたりで生きて行く決意をします。そしてこの春、同じ仲間と出会いました。
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しんちゃんの家族は1945…
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