ままならないウナギの赤ちゃん 値段高騰の裏に闇ルート

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荻原千明
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 27日は土用の丑(うし)の日。消費のピークを迎えるウナギの値段が高騰している。養殖に必要な稚魚(シラスウナギ)の捕れる量が激減しているからだ。資源としての保護が見通せず、完全養殖の商業化にも課題が残る。日本人はウナギとどう向き合えばいいのだろう。

 「年々高くなって手が出ない。年に一度は食べたいんだけど」。土用の丑の日が近づき、東京都内のスーパーに設けられたかば焼き売り場。1匹2千円台半ばの国産ウナギを見つめ、近くの主婦(70)はため息をついた。「家族4人で次の日はお茶漬けかな、なんて思っちゃう」

 養殖業者でつくる日本養鰻(ようまん)漁業協同組合連合会によると、ニホンウナギは現在、1キロ(5匹)あたり5200円ほどで出荷されている。10年前の同時期(約2300円)の2倍超だ。担当者は「養殖池に入ったシラスウナギが少ないから高くなる。1匹を少しでも大きく育てて供給量を増やし、価格も抑えようとしている」という。

 国産ウナギの99%は養殖ものだが、元となるシラスウナギは海や川で天然ものを捕る必要がある。水産庁によると、今漁期(昨年11月~今年4月)の国内推計量は過去最低の3・7トンで、20トン台が珍しくなかった2000年代から激減した。輸入した11・5トンで補ったが、養殖業者がシラスウナギを購入する価格は今シーズン、1キロあたり219万円。25万円だった04年の9倍近い。

 ニホンウナギは14年に国際自然保護連合(IUCN)が絶滅危惧種に指定。捕りすぎを防ぐため、日本は15年漁期から中国、韓国、台湾とともに養殖池に入れるシラスウナギの量に上限を設けている。だが、実際の池入れ量は一度も上限に届いたことがない。「枠が大きすぎて効果がない」との指摘もあるが、国は「ウナギの科学的知見は乏しく、合意できる範囲で資源管理をするしかないが、中国が政府間協議に参加してくれない」などとして設定を変えていない。

 資源保護の徹底が疑問視される背景に、複数の人が介在するシラスウナギ流通の不透明さがある。

 西日本でシラスウナギ漁をする40代男性は、「ウラ(指定業者以外)に流したことがある」と打ち明ける。

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 シラスウナギを捕ることがで…

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