21日に投開票された参院選の選挙区で、最大3・00倍の「一票の格差」があったのは「投票価値の平等に反して違憲だ」として、二つの弁護士グループが22日、選挙無効を求めて全国の高裁に一斉に提訴した。議員1人あたりの当日有権者数(速報値)は最少の福井選挙区が約65万人、最多の宮城選挙区が約194万人で、訴訟ではこの格差と併せて、2018年の公職選挙法改正の評価が焦点となる。

 最高裁は、最大格差がそれぞれ5・00倍、4・77倍だった10年と13年の参院選を「違憲状態」と判断した。是正を迫られた国会は16年の参院選を前に「鳥取・島根」「徳島・高知」で初めて合区を導入するなどした「10増10減」を実施。最大格差は3・08倍に縮まり、最高裁は「合憲」とみなした。ただ、国会が法改正した際の付則で「19年参院選に向けて抜本的な見直しを引き続き検討し、必ず結論を得る」と明記された点を「立法府の決意」と評価しての判断だった。

 国会はその後、18年の法改正で定数6増を実施。格差是正のために埼玉選挙区の定数を2増したが、あとの定数増は格差是正とは無関係の比例区分で、合区の導入で選挙区から出られない候補者の救済措置として、優先的に当選できる「特定枠」も設けた。

 二つの弁護士グループは18年改正について「抜本的な見直しに全くなっていない」と批判。全国14の高裁・高裁支部に提訴したグループの升永英俊弁護士は会見で、「国会にこれだけコケにされても最高裁は合憲の判決を書くのか。司法の存在意義、三権分立を捨てるかどうか、崖っぷちの裁判になる」と強調した。

 山口邦明弁護士のグループも、…

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