4K放送、民放を悩ます費用の壁 潤沢なNHKと温度差

有料記事4K放送は暗いのか

松田史朗
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検証 4K放送は暗いのか⑤

 高精細で美しい映像が見られるとして2018年暮れに始まった4K放送で、一部の視聴者から「4K放送が暗い」と苦情が出ているとの情報が朝日新聞に寄せられた。テレビ2台を使った実験でもその傾向が確認された。その一つの原因にテレビの輝度(画面の明るさ)の課題があったことは前回お伝えした。

 一方、複数のテレビメーカー幹部は、別の問題点を指摘した。「2Kのアップコン番組は暗くなる」というのだ。放送局側の映像処理のことらしい。どういうことか。

昨年末に始まったBSの4K放送が「暗く見える」との情報が朝日新聞に寄せられました。テレビの問題なのか、放送の問題なのか。原因と対策を追った取材の一部始終を6回のシリーズで伝えます。ご意見や感想は(keizai@asahi.comメールする)にお寄せください。

3種類の映像

 6月中旬、記者はある大手電機メーカーを訪ね、最新の4Kテレビの画面を見ながら幹部に取材していた。そこでは3種類の映像を見比べた。

①4Kカメラで撮影した映像を4K放送で見る

②2Kカメラで撮影した映像を2K放送で見る

③2Kカメラで撮影した映像を4K放送でみる

 4K放送の映像信号は「HDR」、2Kの映像信号は「SDR」と呼ばれるので、信号の流れでみれば次のようになる。

①HDR→HDR

②SDR→SDR

③SDR→HDR

 このなかで最も暗く見えたのが③の映像だった。このとき見たのは民放のBS放送の通販番組だったが、画面全体があきらかに薄暗い。③は2K映像を4K映像に「アップコン(アップコンバート、高解像度化)」した映像ということになる。大手電機メーカーの幹部は言った。

 「問題提起の記事にされるなら、答えはこれ。放送局が怒るかもしれないけど……」

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 別の電機メーカー幹部も「ア…

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