「天下の山形屋も時給761円」 鹿児島女性のため息

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榊原謙
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 今年度の最低賃金(時給)の引き上げ額の「目安」が、30日に開かれる国の審議会で示されます。近年は賃上げを重視する安倍政権の意向に沿って平均3%の高い伸びが続いており、今年もこの流れを引き継ぎそうです。一方で、都市部と地方の格差は広がり続けています。格差是正は参院選でも争点になりましたが、抜本的な見直しは難しそうです。(榊原謙)

 鹿児島市の女性(60)は、求人誌や新聞に載るパート募集の記事を見てはため息をついている。

 「天下の山形(やまかた)屋も761円か……」

 山形屋は、鹿児島を中心に展開する老舗百貨店グループだ。だが、女性が目にした求人の時給は、2018年度に全国最下位となった鹿児島県の最低賃金と同額だった。

 数年前までパートとして菓子製造会社で働いていた。時給は鹿児島の当時の最低賃金とほぼ同じ680円。繁忙期には自宅に2千枚のシールを持ち帰り、深夜まで商品に貼り続けた。無給のサービス残業だ。さすがに嫌気がさし、15年間勤めた職場を去った。

 もう最低賃金レベルで働くのはこりごりだ。だが、鹿児島で時給1千円を求めれば、ノルマが厳しい仕事や水商売などに求人が絞られてくる印象で、自分には無理だと思う。一方で、最低賃金が全国トップの985円の東京都では、時給1千円以上の求人が様々な業種から出ると聞く。

 「スーパーの売り場を見ても…

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