病院で寄り添った子ども1000人 心の負担和らげる

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牧内昇平
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凄腕しごとにん

国立成育医療研究センター・チャイルドライフスペシャリスト 伊藤麻衣さん(35)

 いつおうちに帰れる? 痛いのはイヤ! 重い病気をかかえて病院にくる子どもたちは不安に満ちている。その心に寄り添うのが、チャイルドライフスペシャリスト(CLS)の仕事だ。

 たとえば、採血で大暴れしてしまった3歳の男の子の場合。伊藤さんは翌日、注射器と人形をもって「遊ぼうか」と声をかける。ストレスをともなう医療処置のあとに行う「治癒的遊び」だ。

 男の子が真顔でブスブスと人形に針をさすのを、伊藤さんはじっと見守る。まちがえて人形の頭に注射してしまうことも。記憶が混乱している可能性がある。「チックンは腕だったね」と伝え、怖い気持ちが増幅するのを防ぐ。何回か注射をくり返すと、男の子が「おしまい!」と満足そうに笑う――。

「自分がされたことを人形にくり返すことで、子どもたちは少しずつ苦しかった経験を受け入れる準備をしているのです」

 主な担当は小児がんの子どもたち。入院は数カ月から1年以上におよぶ。一人ひとりの心身の状態に合わせ、会話や遊びを通じて心の負担をやわらげていく。

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 イライラしている子には積み…

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