野球漫画変えたリアルさ 名選手もとりこにしたドカベン

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斉藤勝寿
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 夏の高校野球は地方大会が終わり、代表49校が出そろった。神奈川代表は――もちろん明訓高校、といえば漫画「ドカベン」の世界だ。その一場面が現実の甲子園で起きるほどに、従来の漫画を超えるリアルな野球の面白さを描き、あの名選手もとりこになった。

駆け引きの面白さ

 1972年に連載が始まった、水島新司さん作のドカベン。天才的な打撃技術をもつ捕手山田太郎、悪球打ちの三塁手岩鬼(いわき)正美、秘打と華麗な守備の二塁手殿馬(とのま)一人(かずと)、下手投げの投手里中智(さとる)ら、個性あふれるメンバーが登場する。

 ライバルたちも、ご当地色も盛り込んで強烈だ。「野球王国」神奈川のライバル・白新の不知火(しらぬい)守、土佐犬を連れた荒々しい土佐丸(高知)の犬飼小次郎、大阪の通天閣打法の坂田三吉……。

 画期的だったのは、投手中心の漫画が多かった中で、捕手を主人公に据えたこと。「魔球」など現実離れした設定ではなく、バッテリー対打者の駆け引きなど、リアルな野球の面白さも取り込んだ。例えば1年秋、横浜学院の強打者・土門剛介との対決。カーブ、シュート、落ちる球、ストレート。4球に込められた緊迫感あふれる心理戦を、20ページにわたって描いた。

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