4K放送、画質抜群のはずが「あれ、暗い」 相次ぐ苦情

有料記事4K放送は暗いのか

松田史朗
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検証 4Kは暗いのか①

 首都圏に住む60代の男性は、その日がくるのを楽しみに待っていた。

 リビングには58インチの4Kテレビ。専用チューナーもそろえ、BSの4K放送がスタートした2018年12月1日を迎えた。

 「別世界」という4K放送の番組はいったいどれほど美しく見えるのだろう?

 やがて番組が始まり、男性の期待は、すぐに困惑に変わった。

 「あれ、暗いな……」

昨年末に始まったBSの4K放送が「暗く見える」との情報が朝日新聞に寄せられました。テレビの問題なのか、放送の問題なのか。原因と対策を追った取材の一部始終を6回のシリーズでお伝えします。ご意見や感想は(keizai@asahi.comメールする)にお寄せください。

 それまで見ていた地デジ(2K放送)に比べ、4K放送のほうが画面が暗いと感じた。

「別世界だから」

 男性が4Kテレビを買ったのは、放送開始を2カ月後に控えた18年10月のことだ。長年付き合いのあった近所の電器店の店主に「12月に始まる4K放送は素晴らしい画像で別世界だから。東京五輪も良い画面で見たほうがいいでしょう」と勧められた。

 自宅のテレビは7年前に買ったもので、まだ十分見ることができた。画質にこだわるタイプでもなく、最初は聞き流していたが、何度も勧誘されるうちに心が動いてきた。背中を押したのは、やはり東京五輪だ。

 「会場に行くのも大変だし。きれいなテレビで競技を見ることができるなら……」

 ただ、4K放送を見るには別売りの「外付けチューナー」を併せて買う必要があった。今でこそチューナー内蔵のテレビが増えているが、18年当時はまだ一部しかなかった。結局、テレビとチューナー、テレビ台を合わせて計50万円という大枚をはたいた。なのに、画像が暗く見えるとは、話が違う。

 「画面が暗いんだけど」

 男性は勧めた店主が自宅に寄った際に苦情を言った。店主はなぜか、覚悟していたような顔をしていた。そして申し訳なさそうに答えた。

 「そうでしょう。じつはほかのお客さんからもそう言われたんですよ」

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■押し黙る客…

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