技術の継承が…種子法廃止が招いた「種もみ県」の不安

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藤井満
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 森友・加計学園問題や共謀罪で紛糾した2017年の通常国会で、都道府県による米などの種子供給を定めた主要農作物種子法(種子法)廃止が決まった。ほとんど議論にならなかったが、全国有数の種もみ生産県の富山県内の農家には「激震」だった。参院選で農政でも各党が様々な主張をするなか、種子法廃止の影響を関係者に聞いた。

 種子法は米と麦、大豆の種子のもととなる「原種」「原原種」の生産や種子の品質審査、奨励品種の選定などを都道府県に義務づけていた。種子を自給できない県は他県に栽培を委託する。県境を越えて流通する種もみの6割を富山県の農家が供給している。

 とりわけ、砺波市の旧庄川町周辺は江戸時代から種場(たねば)として知られ、現在275軒が450ヘクタールで40品種の種もみを育てている。

 同市庄川町庄の堀田敬三さん(71)は7反(70アール)で種もみを栽培する。主食用の米は田植え時に1回肥料をまくが、種もみは生育を見ながら4、5回施肥する。他の品種などの混入を防ぐため、年2回の県の圃場(ほじょう)審査前には「田んぼのなかが足跡だらけになるまで」歩いて草を抜く。多くの農家は2、3品種栽培しているから、暑い時期に4~6回そんな作業をこなす。乾燥機などの機械は、異なる品種を扱うごとに念入りに清掃する。種もみは主食米の約2倍の1キロ約400円で売れるが、重労働で生産農家は年々減り、法人などへの委託が進んでいる。

 堀田さんには種子法廃止は「青天のへきれき」だった。産地への説明も議論もなしに国会を通過し、18年4月に廃止された。「法律があるから公的機関が審査し、品質が保証されたのに、どうなってしまうのか」と不安になった。

 県主要農作物種子協会の金森…

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