次期EUは厳しい船出 混乱の末、突如現れた女性トップ

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フランス東部ストラスブール=津阪直樹 ベルリン=野島淳
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 得られた票は383。承認に必要な数をわずか9票上回っただけだった。

 欧州連合(EU)の欧州議会は16日夜(日本時間17日未明)、ドイツウルズラ・フォンデアライエン国防相(60)を次期欧州委員長とする人事案を、賛成多数で承認した。結果が発表されると、一部の議員は立ち上がって拍手でたたえ、フォンデアライエン氏は胸に両手を当て安心したそぶりをみせた。

 混乱に混乱を重ねた末の決着だった。最大の原因は、EUの主流派の影響力が弱まり、少数派の意向を無視できなくなったことだ。

 EUの行政機関である欧州委員会は、EUでの法案提出権を握る強力な組織。委員長候補を決めるのはEU首脳会議だが、定数751の欧州議会で欠員を除いた過半数の374以上の賛成で承認される必要がある。

 首脳による人選にあたっては、直近の「欧州議会選の結果を考慮する」という決まりになっている。そのため、5月にあった欧州議会選では、各会派は委員長候補を掲げて戦った。結果、最大会派になったのは中道右派「欧州人民党」(EPP、182議席)。ドイツのメルケル首相や現職のユンケル欧州委員長も支持を表明し、順当ならEPPが推すドイツ人のウェーバー欧州議員が欧州委員長候補になるはずだった。

 だが、6月20、21日の首…

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