北方領土、2島返還にかじ切る首相 交渉進まず嘆く地元

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大野正美
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 日ロ平和条約交渉で、北方四島のうち事実上の2島返還に踏み込んで決着を目指した安倍晋三首相。だが、自ら「節目」に設定した6月の大筋合意を断念した。元島民の平均年齢は84歳。参院選の投開票日を前に、地元の期待はしぼむ。

決着めざした首相

 <(大阪市で6月に開催する)G20(20カ国・地域首脳会議)においてプーチン大統領をお迎えいたしますが、その前に、私がロシアを訪問して日ロ首脳会談を行います。私とプーチン大統領のリーダーシップの下、戦後残されてきた懸案、(日ロ)平和条約交渉を仕上げていく決意であります。(昨年11月14日、安倍晋三首相が日ロ首脳会談後、記者団に語った発言から)>

 「色丹島に巨大な水産加工場が次々に立てられている。リゾート地区としてホテル、飛行場もできるという。ロシア最大級の水産基地になるとも聞いた」

 15日、北方四島ビザなし交流の自由訪問団の団長として出身地の色丹島から北海道根室市の根室港に戻ったばかりの木根(きのね)繁さん(82)は、記者会見で現地での驚きをこう口にした。

 根室市に住む木根さんは、公海でのサンマ棒受け網漁などに従事している第53進洋丸(199トン)の船主だ。それだけに、訪問中に聞いた南クリル(北方領土のロシア側呼称)行政府で色丹島を担当するセルゲイ・ウーソフ副地区長の言葉が気にかかる。

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 色丹島では、中部の穴澗(あ…

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