「感情」に訴える韓国輸出規制、その狙い 津田大介さん

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論壇時評 ジャーナリスト 津田大介さん

 政府が韓国向けの半導体材料3品目の輸出規制を厳格化する措置を発表したことが大きな議論を呼んでいる。安倍首相は3日に行われた日本記者クラブ主催の党首討論会で韓国の元徴用工訴訟に触れ、「1965年に(日韓)請求権協定でお互いに請求権を放棄した。約束を守らない中では、今までの優遇措置はとれない」と語った。同日、世耕経産相ツイッターで今回の措置を実施した経緯について、日韓間で生じている輸出管理の問題と元徴用工問題などで信頼関係が損なわれたことを理由として挙げた。

 規制措置の実施を受け、ネット媒体では「輸出規制措置をとることは、韓国の無法を国際的に知らしめる」「韓国経済の生死を決めるのは日本であることをわからせなければならない」といった勇ましい言葉で今回の措置を肯定する議論が目立つ(〈1〉)。実施直後に行われたJNN世論調査では今回の措置を妥当だとみなす国民が58%に及んだ(〈2〉)。背景に日韓関係の悪化があることは明白だ。

日本政府の措置、投げかけられた疑問

 他方で、日本政府の今回の措置に疑問を投げかける声も少なくない。澤田克己は規制措置を「長期的にはブーメラン効果で日本企業に痛みを強いる愚策」と主張する(〈3〉)。澤田によれば、今回の措置の問題点は、①自由貿易を主張してきた日本の国際的信頼の低下②国際的な半導体供給への悪影響③大口顧客である韓国企業への輸出が減る日本企業の被害④韓国が代替品の調達・開発を進め、結果的に日本企業の国際競争力が損なわれるだろうこと、にあるという。

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 ①について、米国外交研究の…

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