「イスラム国」残党の暴虐 掃討されても、消えぬ苦しみ

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モスル=高野裕介
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 過激派組織「イスラム国」(IS)がかつて最重要拠点としていたイラク北部の都市モスル。10日で解放から2年がたった現地に記者が入った。米国はISの掃討作戦の終結を宣言。いまだISの存在に苦悩する人たちの姿があった。

 小麦の収穫が終わった7月上旬、モスル郊外の農地が地平線まで黄金色に染まっていた。その中に焼かれた黒い畑が点在していた。焼け焦げた小麦を手に取ると粉々になって風に運ばれ、炭のにおいが鼻をついた。

 「取材は15分だ。こういう場所は狙われやすい」

 小麦畑を訪れた記者に同行の運転手が忠告した。街中と違い、軍や警察の姿はなかった。

 「ISを名乗る男に『税金』を要求された。拒否したら、畑を焼かれた」。農家のサラハ・ムハンマドさん(24)が打ち明けた。

 収穫を控えた5月下旬に突然電話がかかってきた。

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 「次はお前だ。失いたくなけ…

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