今度こそ幸せに暮らすはずだった 幼子を奪われたキララ

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城真弓
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 キララはいつも、キンジを抱っこしていた。食事の時も、眠る時も。キンジはその小さな手足で、キララのおなかをしっかりとつかまえていた。チンパンジーの親子は北九州市にある動物園で、いつまでも幸せに暮らすはずだった。

 キララがキンジを産んだのは、昨年暮れのこと。初めての出産だった14年前は赤ちゃんを放り出してしまったと、飼育員の女性(37)は先輩から聞かされていた。人の手によって育てられたからだろうか。今度は大丈夫だろうか。

 そんな心配をよそに、キララはすぐに赤ちゃんを胸に抱いた。3日目には、チュパチュパとおっぱいを吸う音がおりの外まで響いた。

 生活がすっかり落ち着いた2月。母子のおりで、キララの双子の姉妹のクララも一緒に暮らし始めた。母子が群れでの生活に移るための準備だった。姉妹はもともと仲が良く、クララは母子に寄りそい、まもなく一緒に寝転がる姿もみられた。

 異変が起きたのは、気温が上がって夏日になった5月下旬のことだった。

 朝、飼育員がおりをのぞくと…

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