明朝体、もっとかわいく つくったフォント7万3千字

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吉田貴司
【動画】筆による文字の下書きからフォントができるまでの流れ=西塚涼子さん提供
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凄腕しごとにん

アドビシステムズ チーフタイプデザイナー 西塚涼子さん(47)

 商品のパッケージや広告などを制作するクリエーターたちにとって、文字を載せるとき、どんなフォント(書体)を使うかはこだわるポイントの一つだ。デジタルの表現分野でよく使われるソフト「イラストレーター」「フォトショップ」を提供している米アドビの日本法人で、フォントづくりを担当する。

 「筆の質感」がにじむ明朝体のデザインに定評がある。

 フォントづくりは、実際に筆で書くことから始めることも。ひらがなは特にそうだ。意識するのは太さの強弱だ。線の書き出しは大きく太く、途中は力を抜いて細めにし、最後にまた力を入れて止めるイメージ。同じ文字を10個ほど繰り返し書く。じっくり見くらべ、気に入ったものを選び、パソコンに取り込む。あとは画面のうえで、大きくしたり縮めたりしながら、細かな修正を加えていく。

 筆でまず書くのは「目と手をしっかり動かして実際に書かないと美しい形がつくれない」からだという。筆の運びは、趣味でも書道をたしなむというだけあって滑らかだ。毎年、書道教室の仲間と美術館で展示会を開き、作品を出展しているという。

お手本は鳥獣戯画

 これまでアドビで制作に携わって発表した明朝体は約7万3千字にのぼる。2017年に発表した「貂(てん)明朝」が、一つの集大成になった。

 めざしたのは「かわいい明朝…

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