「100点満点で1千点」の大成功、再着陸のはやぶさ2

有料記事はやぶさ2

杉本崇 石倉徹也 伊藤隆太郎
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 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は11日、探査機はやぶさ2」が、地球から2・4億キロ離れた小惑星「リュウグウ」への再着陸に成功したと発表した。小惑星の地下で眠っていた、太陽の光や放射線で風化していない砂や石を採取できた可能性が高いとしている。約46億年前に太陽系が誕生したころのままの姿の物質を調べることで、太陽系の成り立ちや生命誕生の謎に迫れる可能性がある。

 「太陽系の歴史のかけらを手に入れた。100点満点で言うと1千点です」。はやぶさ2計画の責任者である津田雄一・プロジェクトマネージャは、11日午後にあった会見で胸を張った。

 発表によると、はやぶさ2は午前10時過ぎ、人工クレーター近くの予定地点にピンポイントで着陸した。撮影画像やデータから、着地していた数秒の間に砂や石の採取にも成功したとみられる。管制室では、80人のスタッフが手をたたき、2回目の着陸成功を意味するVサインを掲げた。

 2月に初着陸に成功し、4月には小惑星に史上初めて人工のクレーターをつくった。今回の再着陸も順調に見えたが、懸案もあった。着陸の最終盤で使うカメラが前回の着陸の際に砂で汚れてしまい、投下しておいた目印を見つけられない恐れがあった。

 このカメラは上空30メートルで初めて起動する。もし、はやぶさ2が目印上空に正確に到達できておらず、目印を見つけられなければ、自動で着陸を断念して引き返すことになっていた。

 はやぶさ2の動きの精度を高めるため、佐伯孝尚・プロジェクトエンジニアらは12基ある姿勢制御装置の癖まで調べ、「センチ単位の精度で乗りこなせるようになった」。カメラが切り替わると、目印は画面のほぼ中央にあったという。

 JAXA内部では再着陸に慎重な意見もあった。再着陸はもともと「追加の成果」扱い。特に、初代を帰還させた立役者で、JAXA宇宙科学研究所の国中均所長が「すでに採取した砂を持ち帰ることが最重要だ」と考えていた。

 津田さんは「再着陸できることをデータで示せ」と厳しい条件を出され、こなした着陸シミュレーションは10万回に及んだ。再着陸を成功させると、いたずらっぽく言った。「ほら、大丈夫だったでしょ?」

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■採取サンプルで「生命誕生の…

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