兼業の警察幹部3人を懲戒処分へ 問題集執筆で多額報酬

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 警察官の昇任試験対策問題集の原稿執筆を繰り返し、適正な手続きをとらずに出版社から報酬として多額の現金を受け取ったのは公務員法が禁じる兼業にあたるなどとして、国家公安委員会などは、大阪府警の警視正と、宮城県警から出向中の東北管区警察学校の警視正、熊本県警の警視の男性3人について懲戒処分にすることを決めた。

 警察関係者への取材によると、大阪府警刑事部幹部の警視正は数年間にわたり計八百数十万円を受け取っており、減給10分の1(3カ月)の処分の見込み。東北管区の警視正は計百数十万円を受け取り、戒告、熊本県警の警視も戒告の見通しだ。一部は辞職する意向を示しているという。原稿執筆は3府県警以外でも確認され、複数の県警などの幹部ら十数人が本部長注意など内規に基づく処分の対象となった。

 出版社は東京都港区の「EDU―COM(エデュコム)」。同社は、全国各地の警察が行っている巡査部長、警部補、警部の昇任試験の筆記の対策問題集「KOSUZOシリーズ」を出版。筆記試験は法規や捜査実務の知識を択一式などで問う内容だ。

 同社からの依頼に応じ、全国の多数の警察幹部らが問題集の問題や解答の原稿を執筆し、原稿料を受け取っていた。今年1月の報道を受け、警察庁と関係の道府県警が調査を進めてきた。

 警視正は国家公務員、警視は地方公務員国家公務員法地方公務員法は許可を受けずに兼業を行うことを禁じている。3人は継続的に報酬を受け取っていたのに許可を申請しておらず、兼業禁止規定に抵触するとされた。国家公務員倫理法は業者から報酬を得た際、「贈与等報告書」の提出を義務づけているが、警視正2人は提出を怠っていた。

 さらに、非開示である警察業務に関する内部文書を同社に提供していたケースもあったという。国家公安委などはこれらの行為が懲戒処分の理由になると判断した。

 注意や訓戒の内部処分となる十数人も兼業や贈与等報告の怠りなどが理由という。3人は受け取った額が大きいことなどから、より重い懲戒処分となった。

 同社は取材に「特にお話しすることはありません」としている。

SNSのやりとりで判明…

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