国控訴せず、「ほっとした」 元ハンセン病家族ら安堵

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田中久稔 一條優太 編集委員・北野隆一
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 元ハンセン病患者の家族への賠償を国に命じた熊本地裁判決について、安倍晋三首相が9日朝、控訴しない方針を示し、原告の間に安堵(あんど)の声が広がった。

 ハンセン病家族訴訟原告団長の林力(はやしちから)さん(94)=福岡市=は首相の方針表明について「当然のことだと思います。多くの方々、世論の支援があってここまで来た。無念の中で死んでいった多くの(ハンセン病療養所)入所者の人々も喜んでいることだと思う」と語った。

 林さんが13歳になった年の夏、父の馬場廣蔵さんがハンセン病療養所星塚敬愛園(鹿児島県)に入所。自らも差別を受け、父の存在を隠した時代もあった。そんな自分を恥じて経験を明かし、ハンセン病問題を語ってきた。

 「国はこれを機会に国民に明らかにしなければならない。(国が進めた患者の)隔離政策とは何か。ハンセン病とは何か。患者と家族がどんなつらい思いをしてきたのかを」

 原告の女性(67)=東京都=は「とにかくほっとしました。ほっとした。うれしいです」と喜びをにじませた。父がハンセン病療養所に入った後に両親は離婚し、家族は離ればなれになった。この日朝、首相の表明を受けて担当弁護士から「控訴見送り」とのメールを受け取っていた。

 6月の地裁判決後、控訴しな…

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