嘲笑する政治が生んだ差別、同調圧力 安倍政権の6年半

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政治部次長・松田京平
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 笑いは人間関係の潤滑油だ。ただし、他人を見下す笑いとなれば話は違う。

 安倍晋三首相は2月の自民党大会以降、民主党政権を「悪夢」と言って会場の笑いを誘うあいさつを十八番(おはこ)にしてきた。5月には、自民党の二階、麻生、細田の主流各派のパーティーに顔を出し、「悪夢」発言を繰り返した。笑いや拍手は確かに起きた。それは、さげすみの笑いだった。

 「政治の混乱と停滞に終止符を打つ」。2012年末、民主党に代わって政権に復帰したころ繰り返した首相の言葉だ。あれから6年半。今年6月、通常国会閉幕後の記者会見では「再びあの混迷の時代へと逆戻りするのか」を参院選の「最大の争点」とした。

 民主党政権の失敗と比較して野党を揶揄(やゆ)、こき下ろす。身内で固まってあざ笑う――。自分が相手より上位にあり、見下し、排除する意識がにじむ。首相も支える官邸スタッフも代わらず、国会では野党を圧倒する議席に支えられた強固な権力基盤の中で、「嘲笑する政治」が6年半、まかり通ってきたのではないか。

 笑われる野党にも責任がある。ただでさえ小口化したのに、いまだに主導権争いと離合集散を繰り返している。民主党政権の中枢にいた一部政治家に至っては、無節操に自民党の門をたたいている。

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