【詳報】志位氏、首相に「血を流す自衛隊にしたいのか」

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3日午後1~3時、7党の党首らによる日本記者クラブ主催の討論会が開かれました。参院選の公示を4日に控え、舌戦が繰り広げられました。政治部記者が時系列のタイムラインで詳報しました。

選択的夫婦別姓、首相の「経済成長とは関わりがない」発言 枝野氏が追及

 「一斉にお聞きしますので、賛成の方は挙手をしてください」

 討論会の終了直前、記者がテーマごとに挙手で賛意を示すよう党首ら7人に求めた質問。選択的夫婦別姓制度の是非やLGBTなど性的少数者の権利を「認めるか」と問われ、安倍晋三首相はただ1人、手を挙げなかった。そして質問者側に「単純化してショーみたいにしないほうがいい。政治はイエスかノーかではない。あんまり印象操作するのやめた方がいいと思いますよ」と苦言を呈した。

 選択的夫婦別姓制度については、6月30日のインターネット番組での党首討論で、立憲民主党枝野幸男代表から「女性の社会参画を妨害している大きな要因は、日本が結婚したら同じ氏を名乗ることを強制されていること」「女性の社会参画のために不可欠だ」として意見を求められた首相が「経済を成長させ、みんなが活躍できる社会をつくっていくこと」と返答。司会者から「選択的夫婦別姓制度は要らないという返答か」と問われ、「経済成長とは関わりがないというふうに考えている」と答えた。女性の人権問題ではなく経済問題として捉えたことに批判の声があがっていた。

 これを受けた党首討論で、枝野氏は「経済成長と関係ないから(別姓制度が)必要ないとも受け取れた」と再び見解をただした。首相は直接答えず、マイナンバーカードやパスポートなどで旧姓使用が可能だと例示。「国民的なコンセンサス(合意)を得ていく必要があるだろう」と述べるにとどめた。

 また、野党が提出した選択的夫婦別姓制度を導入する法案の審議入りに自民党が応じないことを問われると、「国会運営は党に任していた」とした上で、「党の代表として(討論に)出ている。基本的には積極的に議論はしていくべきなんだろう」と述べ、審議の必要性は認めた。

 首相は「意識調査についても意見はいろいろ分かれている」とも主張したが、同制度への理解は女性の社会進出とともに広がっている。2012年の内閣府世論調査では賛否はほぼ拮抗(きっこう)していたが、17年には賛成が42・5%、反対29・3%で賛成が反対を大きく上回った。

 東京都議会では今年6月、同制度の法制化を促す意見書を国に提出するよう求める請願を賛成多数で採択したが、自民党だけが反対した。

「攻撃モード全開」だった党首討論 明日からの参院選でクリアな主張を(寸評=別宮潤一記者)

 与野党党首が「攻撃モード全開」になり、いよいよ参院選が始まる――。こう感じさせる党首討論でした。

 安倍晋三首相は質問機会の2回をともに立憲民主党の枝野幸男代表にあて、1人区の野党一本化への批判に集中させました。共産党候補に一本化された福井県を挙げ、「共産党は自衛隊は憲法違反という立場。枝野さんが福井県民だったら一票入れるのか」と具体例も入れ込みました。

 枝野氏が「今の政治のままでいいのか、明確な選択肢を示した」と答えると、「残念ながら(一票入れるか)発言していない。(選挙が)終わったら野党はまたバラバラになる。決められない政治の再現だ」。これまでも多用してきた、民主党政権を今の野党と重ねる手法です。それだけ、1人区の戦いに危機感があることも垣間見えました。

 野党は討論会の冒頭で、年金・老後資金問題を一斉に取り上げました。公明党山口那津男代表は財源論、枝野氏は脱原発国民民主党玉木雄一郎代表は法人税改革、社民党の吉川元幹事長は沖縄の辺野古移設問題、日本維新の会松井一郎代表は身を切る改革論と、それぞれ党の政策も質問に織り交ぜ、選挙戦での各党の戦略が見えてきました。

 明日から始まる17日間の参院選で、各党の主張をクリアに有権者に訴えてほしいと思います。

「印象操作はやめて」と苦言呈した首相 質問のせいにせず意見集約を(寸評=藤田直央編集委員)

 2時間の論戦も残り数分となった討論会の最終盤、壇上に居並ぶ7党の代表に主催者が次々とテーマをぶつけ、「賛成なら挙手を」と求めました。その時の安倍晋三首相(自民党総裁)の反応は興味深いものでした。

 テーマは、女性天皇を認める、女系天皇(母方だけが天皇の血筋を引く天皇)を認める、原発新増設を認めない、選択的夫婦別姓を認める、LGBTに法的権利を与える、の5点。

 安倍首相だけが、すべてのテーマで手を挙げない形になったのです。安倍首相は「今答えられなくても直ちにノーではない」「印象操作はやめた方がいい」と苦言を連ねました。

 5点のテーマは、「リベラル…

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